遺品整理・生前整理・特殊清掃|片づける前の注意点と進め方【金榮国際行政書士事務所】

遺品整理・生前整理・特殊清掃
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遺品整理・生前整理・特殊清掃

片づけを始める前に、
確かめておきたいことがあります。

遺品整理は、物を運び出すだけの作業ではありません。 手を付ける順番を誤ると、相続放棄ができなくなったり、大切な書類を失ったりすることがあります。 何を先に探し、何に触れてはいけないのか。行政書士の立場からご説明します。

片づける前に、この3つだけは

  • 借金があるか分からないうちは、何も捨てない
  • 相続人全員の同意を得てから動く
  • 遺言書が出てきても、封を開けない
  • 通帳や権利証を先に探しておく

理由を、次の章でご説明します。

やってしまうと、取り返しがつかないこと

ご遺族が良かれと思って進めた片づけが、あとで大きな問題になることがあります。よくあるのは次の3つです。

1. 相続放棄を考えているなら、まだ何も処分しない

亡くなった方の物を処分したり、売って代金を受け取ったりすると、「相続を承認した」とみなされることがあります(法定単純承認)。いったんそう扱われると、あとから借金が見つかっても相続放棄はできません。

形見分けも同じです。時計や着物を持ち帰る行為が問題になった例もあります。借金の有無がはっきりするまでは、部屋に手を付けないでください。相続放棄の期限は、亡くなったことを知った日から3か月です。

2. 遺産分割が済むまでは、相続人全員の同意を

遺品は、相続人全員で共有している財産です。一人の判断で処分すると、あとから他の相続人に損害賠償を求められることがあります。「たいした物はなかった」という説明が通らず、感情のもつれに発展する例が少なくありません。

写真を撮って記録に残し、処分するものの一覧を全員で共有してから進めるのが安全です。判断に迷うものは、その場で捨てずに保管しておいてください。

3. 遺言書が出てきたら、その場で封を開けない

手書きの遺言書(自筆証書遺言)は、家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があります。封をされたものを勝手に開けると、5万円以下の過料の対象になります。遺言そのものが無効になるわけではありませんが、他の相続人から疑いの目を向けられる原因になります。

公証役場で作った公正証書遺言と、法務局に預けられていた遺言書は、検認は不要です。封の有無にかかわらず、判断がつかないうちは触らずに保管しておくのが安全です。

遺品整理・生前整理・特殊清掃のちがい

似た言葉ですが、行う時期も、必要な準備も別のものです。

くらべる点
遺品整理
生前整理
特殊清掃
行う時期
亡くなったあと
ご本人が元気なうち
亡くなったあと(発見が遅れた場合など)
中心になる人
相続人・ご遺族
ご本人(ご家族と一緒に)
相続人・大家さん・管理会社
主な目的
遺品の仕分けと処分、住まいの明け渡し
物と情報を減らし、家族の負担を軽くする
臭気・体液・害虫の除去と、部屋の原状回復
期間の目安
半日〜3日
数か月かけて少しずつ
3日〜2週間(状態により延びます)
必要な許可
一般廃棄物の収集運搬許可、買取をするなら古物商許可
不要品を引き取る場合は上記と同じ
上記に加えて、消臭・消毒の専門技術
先に必要なこと
相続人の確定と、全員の同意
財産の把握と、渡す相手を決めること
大家さん・管理会社への連絡と、保険の確認

捨てる前に、必ず探しておくもの

相続の手続きで必要になる書類は、そのほとんどが自宅にあります。処分してしまうと、再発行に何か月もかかるものがあります。

捜索リスト

  • 遺言書・エンディングノート
  • 預金通帳、キャッシュカード
  • 金融機関からの郵便物・封筒
  • 不動産の権利証・登記識別情報
  • 固定資産税の納税通知書
  • 生命保険・火災保険の証券
  • 年金手帳・年金証書
  • 証券会社からの取引報告書
  • 借入の契約書・督促状
  • クレジットカード
  • 実印・印鑑登録カード
  • 賃貸借契約書
  • 車検証・自動車の鍵
  • スマートフォン・パソコン
  • 現金・商品券・貴金属
  • お墓・仏壇に関する書類

タンスや仏壇の引き出し、本の間、冷蔵庫の中もご確認ください。
通帳や現金は、思いがけない場所から出てくることがあります。とくに、封を切っていない金融機関からの郵便物は、口座の存在を知る手がかりになります。差出人だけでも控えておいてください。

スマートフォンとパソコンは、処分せずに保管を。
ネット銀行、ネット証券、暗号資産、有料の会員サービスなど、紙の記録が残らない財産と契約が増えています。これらは「デジタル遺品」と呼ばれ、放置すると請求だけが続くことがあります。端末が残っていれば、あとから調べる手立てがあります。

遺品整理の進め方

業者に電話をするのは、4番目です。順番を守ることが、いちばんの節約になります。

  1. STEP1

    相続人を確認し、方針を決める

    誰が相続人なのかをはっきりさせ、相続するのか放棄するのかの見通しを立てます。ここが決まらないうちは、部屋に手を付けないのが原則です。急ぐ事情がある場合は、動く前に専門家に確認してください。

  2. STEP2

    貴重品と重要書類を探す

    前の章のリストにあるものを、部屋全体から集めます。この作業だけは業者任せにせず、相続人が立ち会って行うことをおすすめします。

  3. STEP3

    残すもの・形見分けするものを仕分ける

    相続人の皆さまで話し合い、誰が何を引き取るかを決めます。遠方の方には写真を送って確認していただきます。決まった内容は記録に残します。

  4. STEP4

    業者に見積りを取る(立ち会いのうえ、書面で)

    部屋を見ずに電話だけで金額を出す業者には注意してください。2社以上から相見積もりを取り、内訳を見比べてから決めるのが安全です。

  5. STEP5

    搬出・買取・処分

    作業当日は、できるだけ立ち会ってください。まだ使えるものは買取に回すと、費用と相殺できます。処分するものの行き先も記録に残しておきます。

  6. STEP6

    清掃・明け渡しと、完了のご報告

    賃貸であれば管理会社の立ち会いのもとで明け渡します。出てきた書類はまとめて保管しておくと、そのあとの相続手続きがそのまま進められます。

特殊清掃が必要なとき

お一人でお住まいの方が亡くなり、発見までに時間が経ってしまった場合など、通常の清掃では対応できないことがあります。つらいご状況とお察しします。まずは、以下の順にお進めください。

先にすること

  • 賃貸であれば、大家さん・管理会社へ連絡する
  • 窓を開けたり、消臭剤をまいたりしない(近隣に広がります)
  • ご自身で清掃しようとしない(感染のおそれがあります)
  • 加入していた保険を確認する

作業の内容

  • 汚染部分の除去、消毒
  • オゾンなどによる消臭
  • 害虫の駆除
  • 床材・壁紙の撤去と復旧
  • 遺品の整理と搬出

費用について

部屋の状態によって金額の幅が大きく、事前の訪問なしに確定できません。賃貸の場合、大家さんが「孤独死保険(家主向けの少額短期保険)」に加入していれば、原状回復費や家賃の補償が受けられることがあります。まず管理会社にご確認ください。

知っておいていただきたいこと

臭気は一度の作業で完全に消えないことがあります。追加作業が必要になる場合の費用の扱いを、契約前に書面で確認してください。また、原状回復の範囲をどこまで相続人が負担するかは、大家さんとの協議事項です。言われるままに応じる必要はありません。

生前整理は、ご自身のためにもなります

「家族に迷惑をかけたくない」という気持ちから始める方が多いのですが、実際にやってみると、ご自身の暮らしが軽くなったとおっしゃる方がほとんどです。60代から始める方が増えています。

物を減らす

  • この1年使わなかったものから手を付ける
  • まだ使えるものは買取に出す
  • 一度に全部やろうとせず、引き出し1段から
  • 写真は少しずつデータにする

情報を整理する

  • 使っていない口座・カードを解約する
  • 有料の会員サービスを見直す
  • ネット銀行・ネット証券の一覧を作る
  • スマートフォンの解除方法を家族に伝える

財産と気持ちを書き残す

  • 財産目録を作る(預金・不動産・保険・借入)
  • 誰に何を残すかを決める
  • エンディングノートに希望を書く
  • 必要であれば遺言書を作成する

やっておくと変わること

ご家族が相続手続きを始めるとき、いちばん時間がかかるのは「財産を探す作業」です。目録が一枚あるだけで、数か月分の手間が省けます。エンディングノートに法的な効力はありませんが、お葬式や納骨の希望、伝えたい言葉を残す場としては十分に役立ちます。

費用の目安

以下は一般的な相場です。当事務所の料金ではありません。エレベーターの有無、搬出の距離、荷物の量、買取に回せる品があるかどうかで大きく変わりますので、必ず複数の業者から見積りを取ってお確かめください。

1R・1Kおひとり暮らしのワンルーム
30,000円 〜 100,000円
1DK・1LDKおひとり〜おふたり暮らし
70,000円 〜 200,000円
2DK・2LDKご夫婦のお住まい
120,000円 〜 350,000円
3DK・3LDKご家族のお住まい
170,000円 〜 500,000円
一戸建て(4LDK以上)物置・庭の物も含む場合
250,000円 〜 800,000円
特殊清掃消臭・消毒・原状回復
50,000円 〜部屋の状態により大きく変動します

費用を抑えるには。
ご自身で運び出せるものを先に減らしておくと、金額は下がります。自治体の粗大ごみ収集を使えるものは、そちらのほうが安く済みます。家電4品目(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機)はリサイクル料金が別にかかります。まだ使える家具や骨董、着物などは買取に回し、費用と相殺できることがあります。

費用は誰が負担するか。
原則として相続人の負担です。相続財産から支払うことも可能ですが、その扱いを誤ると「相続を承認した」とみなされる場合があります。相続放棄を検討している場合は、支払う前に専門家に確認してください。

業者選びで確かめること

ご遺族の気持ちが落ち着かないうちに契約を急がせる業者がいます。次の6点を確認してください。一つでも答えを濁す業者は避けたほうが無難です。

許可を持っているか

家庭から出るごみを運ぶには、市区町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。自社で持っていない場合、許可業者と提携しているかを確認してください。買取をするなら古物商許可も必要です。

訪問して見積りを出すか

電話やメールだけで金額を出す業者は、当日になって「思ったより多かった」と増額を求めてくることがあります。必ず部屋を見てもらってください。

見積書に内訳があるか

「作業一式」だけの見積書では、何にいくらかかるのか分かりません。人件費、車両費、処分費、買取分の控除が分かれているかを見てください。

追加料金の条件が書面にあるか

どういう場合にいくら追加されるのかが、契約書に書かれているかを確認します。口約束は残りません。

貴重品が出たときの扱い

作業中に現金や通帳が出てきたとき、どう扱うかが決まっているか。原則として、その場でご遺族に引き渡す取り決めがある業者を選んでください。

処分品の行き先を説明できるか

回収した物をどこへ持ち込むのかを答えられない業者は避けてください。不法投棄が発覚した場合、依頼した側が責任を問われることがあります。

よくあるご質問

質問をクリック(タップ)すると、答えが開きます。

相続放棄をするつもりですが、部屋の片づけはできますか。
原則として、手を付けないでください。遺品を処分したり売ったりすると、相続を承認したとみなされ、放棄ができなくなるおそれがあります。ただし、賃貸で明け渡しを迫られているなど、事情によっては認められる例もあります。自己判断で動く前に、行政書士・司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。
賃貸の明け渡し期限が迫っています。
まず管理会社に連絡し、相続の手続き中である旨を伝えて期限の延長を相談してください。多くの場合、事情を説明すれば応じてもらえます。家賃は亡くなった日以降も発生し続けますので、放置せず早めに連絡することが大切です。
遠方に住んでいて、立ち会えません。
作業前後の写真と、出てきた貴重品・書類の一覧を送ってもらう約束を、契約前に取り付けておいてください。仕分けの判断が必要なものは写真で確認します。立ち会える人が誰もいない場合は、代理で立ち会う専門家に依頼する方法もあります。
作業中に現金や通帳が出てきたら、どうなりますか。
相続財産ですので、業者が勝手に処分することはできません。その場で相続人に引き渡し、一覧に記録するという取り決めがあるかどうかを、契約前に確認してください。取り決めのない業者は避けたほうが無難です。
仏壇やお位牌は、どうすればよいですか。
仏壇・お位牌・お墓は「祭祀財産」といい、通常の相続財産とは分けて扱われます。承継する方を決めていただき、引き取るか、菩提寺や専門の業者に閉眼供養を依頼したうえで処分するかを選びます。承継者は遺言や慣習で決まりますが、話し合いで決めることもできます。
生前整理は、いつから始めればよいですか。
体力と判断力があるうちが最適です。60代から少しずつ始める方が増えています。一度に全部やろうとすると続きませんので、引き出し1段、押し入れ1段から手を付けてください。財産目録を作っておくだけでも、ご家族の負担は大きく変わります。
遺品整理をしたら、相続税の申告は必要ですか。
遺品整理そのものが申告の要否を決めるわけではありません。相続税は、財産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に申告が必要です。片づけの過程で見つかった預金や貴金属も財産に含まれますので、記録を残しておいてください。申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。

このページについて

このページは、遺品整理・生前整理・特殊清掃について、一般的な制度と進め方をご説明したものです。特定の業者やサービスをおすすめするものではありません。

相続放棄の可否、遺産分割、遺言書の取り扱いは、ご家族の状況によって結論が変わります。判断に迷われた場合は、動く前に専門家へご確認ください。相続放棄には、亡くなったことを知った日から3か月という期限があります。

記載内容は2026年7月時点の制度にもとづいています。法令や運用は変わることがありますので、実際のお手続きの際は最新の情報をご確認ください。